銀と金の斧

泉の精霊:
「あなたが落としたのは、この金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」

きこり:
「金しかないやろ…それが一番確実やろ」

泉の精霊:
「あなたは嘘つきです」

きこり:
「…ドアホが…教えたる
 正しさとはつごうや…
 あるものたちの都合にすぎへん…!」


泉の精霊:
「あなたが落としたのは、この金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」

きこり:
「私が落としたのは金の斧です」

泉の精霊:
「とどのつまり人はみな悪……!」


泉の精霊:
「あなたが落としたのは、この金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」

きこり:
「う~ん…」

泉の精霊:
「迷えばいい人間か…? 悩めば素晴らしいんか…? そんなもんクソやんか…!」


泉の精霊:
「あなたが落としたのは、この金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」

きこり:
「私が落としたのは普通の斧です」

泉の精霊:
「貴方は正直者です。この金の斧と銀の斧も差し上げましょう」

きこり:
「ありがとうございます。もし私が嘘をついていたらどうなっていましたか?」

泉の精霊:
「賢明な選択をしたあとでもう一方の破天荒な道はどうだったか…と覗く行為
 これはいわば “運命” に対する冒涜でね。そんな権利は誰にもないんですよ」


泉の精霊:
「あなたが落としたのは、この金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」

きこり:
「私が落としたのは普通の斧です」

泉の精霊:
「金が欲しくないんか、おどれ」

きこり:
「………」

泉の精霊:
「わいは欲しい。10年後に他の全てを失っても金だけは持つ。
 その力で10人、20人の美女を俺のものにする。それが望みや。あんたはどないや」

きこり:
「俺も同じだ。女は大好きだ。連中が金に群がるのも知っている。
 だから金は欲しい。あんたと同じだ。しかしそれだけではダメだ。
 金を得たのち、その向こう側を覗いてこないと」

泉の精霊:
「金の向こう側…?」

きこり:
「鬼がいるのか…ひょっとすると仏にでも遭えるのか
 いや…案外そこに座っているのも、やはり人かもしれない…!」

スポンサーリンク
マニッキ広告
マニッキ広告

シェアする

フォローする