盗賊と旅人

「ワンス・アポン・ア・タイム」というボードゲーム(カードゲーム)があります。
人物や物、場所などが書かれた手札のカードを使い、物語を紡いでいくというゲーム。
カードを全て使いきり、最後に残る結末カードに結び付け、筋が通っているオチになれば勝ち。
アメリカでは教材としても使われているとか。

四人で行った結果、ちょいと怖い話ができたので、記憶を頼りに書いてみました。
『』で括られているのがカード名です。

ちなみに、勝者は僕です。さすがマニさん!
無理矢理「結末カード」の筋書きにもっていこうとする僕の苦悩をごらんあれ。

それでは、物語の始まりです。


『地下牢』 がありました。
そこには 『盗賊』 が捕らえられていました。

地下牢には看守 兼 配膳係の者がいます。
配膳は基本、一日一回 『夜』 だけです。
配膳係は毎夜 『食べ物』 を盗賊に運んでいました。

ある日 『旅』 をしている旅人が地下牢を訪問しました。
その旅人と盗賊、実は 『姉妹』 なのです。

盗賊の姉。旅人の妹。
妹が姉を訪問してきた理由は──

姉を殺すためでした。


(ここから過去編に突入)

姉妹は以前 『宮殿』 に住んでいました。
そう、二人はお姫様だったのです。

しかし、その国の王は残虐非道の王でした。
『醜い』 者が大嫌いで、見つけるや否や殺してしまうのです。
そんな王に、国民がついていくはずもありません。国は滅びてしまいました。

国が滅びてしまっては、姉妹はもうお姫様ではありません。
それからは 『物乞い』 などをして生活をしていました。

そんな日が続いたある日、姉は他人の家に不法侵入し、盗みを働きました。
物乞いせずとも、簡単に食料や金目の物が手に入る現実。

姉は言いました。
「盗みをした方が簡単だ。これからはそうして生きていこう」

妹は反論します。
「そんな風になってまで、私は生きたくない」

二人の意見はすれ違い 『言い争い』 になりました。
そこから二人は和解することなく 『けがをする』 ほど殴り合います。
結局、ケンカ別れをしてしまいました。

姉は間違っている。姉を改心させなくては。
妹は知識や経験豊かな 『魔女』 を尋ねることにしました。
そして、姉を改心させる方法を教えてほしいとお願いしたのです。

魔女は答えます。
「『竜』 のしっぽで作ったクスリを飲ませれば、容易いことだ」

妹は竜のしっぽを手に入れるべく、竜の棲家へと忍び込みました。
そして、寝ている竜のしっぽめがけて、持っていた斧を振り下ろします!

しかし、竜は賢く、また敏感な生き物です。
斧をひらりとかわし、妹を捕らえてこう言います。

「お前のようなヤツには 『呪い』 をかけてやる」

竜の呪いによって、妹は小さくなってしまいました。
小人のような姿のまま、妹は魔女の家へと戻りました。
そして、魔女の家の 『扉』 をノックします。

コンコンッ コンコンッ

出てきた魔女が、小さな妹の姿を見てこう言います。
「お前は何をしていたのだ? お前がそんな姿になっている間、姉は捕まって地下牢へ幽閉されたぞ」

妹は驚きました。
とにかく自分の呪いを解いてほしいとお願いしました。

魔女は答えます。
「私にその呪いは解けないが 『幸せな』 ことに、呪いを解く方法は一つではないんだ。
 一つ目は……呪いをかけた竜、本人に呪いを解いてもらう方法」

妹は、また竜の棲家へと戻り、今までのことを話しました。
国が滅びたこと。姉が人の道を外れたこと。改心させたいこと。
魔女が竜のしっぽのクスリがあれば治ると言ったこと。
全てを伝え、自分の非礼を詫び、呪いを解いてほしいと懇願しました。

竜は願いを聞きいれ、小さくなる呪いを解きました。
妹は元の姿に戻りこれで一安心……の、はずでした。

竜は言います。
「魔女などにそそのかされおって。魔女は嘘をついている」

妹は困惑します。魔女が? 嘘を?

竜は続けます。
「竜のしっぽなどで、改心したりするものか。魔女と私、どちらを信じるのだ?」

妹は疑心暗鬼・人間不信になってしまいました。
国は滅ぼされ、姉は邪道へと堕ち、魔女と竜はどちらかが嘘をついている。もしくは、どちらも?
もう何も信じられない。何もシンジラレナイ。
なニも、ナにモナニモナニモナニモ!!!!!!!!!!!!!


妹は気が触れてしまいました。

(過去編終了)

そして、話は戻ります。
地下牢に捕らわれている盗賊(姉)を尋ねる旅人(妹)。
気の触れた妹は、姉を殺しにきたのです。

妹は看守に言います。
私は捕らわれの盗賊の妹だ、面会させてほしいと。
看守はそれを断りますが、妹は諦めません。
看守は仕方なく「盗賊にアナタの特徴を伝え、本当の妹であるとするなら面会を許しましょう」と言い、盗賊のいる牢へと向かいました。

盗賊に確認するといった看守ですが、真意は別にありました。
看守は旅人に恐怖していました。一刻も早く離れたかったのです……。

「盗賊よ、お前の妹を名乗る者がきているぞ」
看守は旅人の特徴を伝えました。
「それは、確かに私の妹だ」盗賊は認めます。

「お前の妹は、どんな人だった?」
「優しい性格だ。しっかりしている。私とは違い、人の道を踏み外してもいないさ」
「道を踏み外していないだと? 私は長年看守をして様々な人を見てきたがね、ゾッとしたよ」
「なにがだ?」
「お前の妹は、狂っている。カバンの隙間から見えたんだ。なんだと思う?」
「うまのフンでも入ってたかい?」
「魔女の首」
「なに?」
「魔女の、首さ」

盗賊は言葉が出ません。
看守は続けます。

「魔女の瘴気にあてられて、気が違ってしまう人はいる。しかし、稀だ。
 そうなるのは、心の根底に巨悪を抱えた人だけさ。お前は妹を優しいと言ったな?
 逆だよ。心の檻に化け物を飼ってたのさ。あの魔女を殺せるくらい、立派な化け物をね」



『そこで彼女は、訪問者が初めから怪物だったことを知ったのです』(結末カード)


結末カードが難しすぎた。
なんだよ「初めから怪物だった」って!

1.彼女を訪問するものがいる
2.訪問者は怪物でなければいけない
3.怪物であることを彼女は知らない

1の条件は序盤にクリア。
しかし、怪物設定が難しい。
竜の呪いで怪物にするつもりだったのですが
他のプレイヤーが「小さくなる呪い」として物語を進めてしまいました。
そこで、心の中の怪物という方向に転換。
結果、妹は気が触れるというダークなオチになりました。

楽しかったー! またやりましょう!
そしてそして、自分もやりたいと思った方、ぜひ一緒にやりましょう。

僕とアナタの物語に、終わりがきませんように。

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