レンコンは電気羊の夢を見るか

大戸屋である。
鶏と野菜の黒酢あん定食である。

運ばれてきた定食、彩られた野菜たち。
ナス、にんじん、じゃがいも、ピーマン、そしてレンコン。
レンコン。レンコン。れんこんレンコン蓮根レンコン!

レンコンを連呼んしていた僕は、不意に違和感に抱きしめられた。
違う。こいつはいつものレンコンじゃない。何かが……。


僕は今年に入ってから既に大戸屋ポイントカードを3枚貯めたほどの大戸屋ユーザー。
中でも鶏と野菜の黒酢あん定食は指名率No.1。業界トップシェアを誇るメニューだ。
幾度となく触れ合ってきたレンコン。触れ合うどころか食らってきた。
レンコンは僕の一部となり、僕の一部はレンコンなのだ。
それなのに、レンコンに違和感を覚えるなんて初めてだ。

おかしいのはどっちだ。僕か?レンコンか?
レンコンに違和感を覚える自身に違和感を覚えているのか。
それともやはり、レンコンの身に何かが起きているのか。


凝視。
見極めてやる。
違和感の正体を。


そして僕は気づいた。
あぁ、このレンコンは……叫びだ! ムンクの叫びにソックリなんだ!

「世界一ムンクの叫びに似たレンコンを食べた男」の誕生である。
僕はこのことを誇りに思うし、世界中の人に知ってもらいたい。
僕こそ世界一ムンクの叫びに似たレンコンを食べた男だぁあああああ!
そう叫びたい。


しかし、違和感は僕に抱きついたまま離れようとしなかった。


どういうことだ?
違和感の正体は叫びだろ。それで解決だ。
まてよ……レンコンは2切れある。
まさか、もう一切れにも違和感が……?

再凝視。
そして僕は気づいた。
あぁ、このレンコンは……木霊だ! もののけ姫のこだまにソックリなんだ!

「世界一もののけ姫の木霊に似たレンコンを食べた男」の誕生である。
僕はこのことを誇りに思うし、世界中の人に知ってもらいたい。
僕こそ世界一ムンクの叫びともののけ姫の木霊に似たレンコンを食べた男だぁあああああ!
そう叫びたい。


そして、叫びは、こだまする。

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