お星様にお名前を

寝苦しい夜。
ふわふわのベッドの中、少女が目を開けると優しい笑みを浮かべた祖父が映った。

「眠れないのかい」
「おじいちゃん、なにかお話して」
「そうじゃなぁ……こんなのはどうじゃ」

祖父は語り始めた。


あるところに、強くて優しい青年がいたんじゃ。
青年はアニメが好きで、特別好きなアニメが一つだけあった。
その名前を後世まで残したい。そう考えていた。

「アニメの名前?」
「そうじゃ。アニ名じゃな」

それから青年は、毎晩星を探したんじゃ。小惑星を見つけるために。
小惑星は発見者に命名権を与えられる。好きな名前をつけられるんじゃ。
じゃから、小惑星を発見して大好きなアニメの名前をつけようと考えた。
小惑星がある限り、その名前は生き続ける。
世界中の人がその星を見て、その名前を口にする。
素敵じゃろ? ロマンじゃなロマン。

そうして青年は天文学者になった。
けれど、小惑星は発見できなかった。
正確には、発見したんじゃがアニメの名前をつけることはできなかった。
トロヤ群の小惑星にはトロイア軍兵士の名前しか……まぁ難しい話はおいとくとしよう。
とにかく、彼は生涯をかけても夢を実現できなかった。

そして彼は……

「おやおや、寝てしまったか」

祖父は少女にキスをして、おやすみをいった。
少女が良い夢をみれますように。



「パパ、きのうね、おじいちゃんがお話してくれたよ」
「へぇ、どんな話だい?」
「星にアニメの名前をつけるお話」
「ははは。親父らしいな。ロマンチストだからなぁ」

その日、少女は天体望遠鏡を覗いていた。
父が勤める天文台にある、とても大きな天体望遠鏡だ。

「やっと新天体だと認められてね。どうだい?」
「ゴツゴツしててつよそう!」
「ははは。そうだね。決してキレイではないけど、でも、強くて優しそうな小惑星だ」
「お名前はなんていうの?」
「その小惑星の名前はね──クラナド──っていうんだよ」
「パパのお名前?」
「そうだ。パパの名前。そして、親父が大好きだったアニメの名前。ようやく親父との約束を果たすことができた……」


『わしが死んだら星になる。その星をお前が発見して、お前の名前をつけてくれ』


「ひどい親さ。星がダメだからって子供にアニメの名前をつけるなんてね」
「パパはアニメの名前なの?」
「そう。でもパパはこの名前気に入ってるんだ。クラナドは”家族”という意味なんだそうだ」
「かぞく?」
「そうだ。家族だ。そしてね、コッチを見てごらん。可愛い小惑星だろ?」
「うん。かわいい!」
「これも新天体でね、パパが名前をつけたんだ」
「どんなお名前?」
「──カノン」
「わたしのお名前!」
「やっぱり親父と僕は家族でね。大好きな名前を残したいという気持ちは一緒だったんだ」
「カノンはどういう意味?」
「カノンはね……


 エロゲの名前だよ」



子供が誇れる名前をつけましょう。
公共広告機構です。

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